NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

リアルタイム引用

 試写会に誘われたので、土曜日に中野サンプラザで『イノセンス』を見てきました。公開前なので詳しいことは言わないほうがいいだろから漠然とした感想を言わせてもらえば、『イノセンス』っていうタイトルはやっぱちょっと失敗なんじゃないかなあ(『攻殻機動隊2』でもやっぱり違和感があるんだけど)。あと、予告編から想像されるようなお話(サイボーグの男が実存的不安を抱えつつ、失踪した昔の女の記憶を辿る魂のラブストーリー、的なかんじのやつ)ではないので、やっぱり前作見たことない人は見に行かないほうがいいんじゃないのか、と思った。まあでも『マスター・アンド・コマンダー』の予告編に比べればまだぜんぜん許容範囲。『ジーパーズ・クリーパーズ』並と言えばいいかね(わかりにくいたとえだ)。
 というわけで例によって例のごとく押井守の映画で(どちらかと言えば実写映画を撮ってるときの押井守っぽいかなと思った)、脚本に伊藤和典が参加していないものの、やっぱり登場人物が聖書やら現代思想やら文学やらをガンガン引用しながら対話します。しかも今回はいつもより量大目、大盛りつゆだくって感じ。ちょいとそりゃやりすぎじゃないの、なんで登場人物がみんなそんなにインテリさんなのよ、とさすがに呆れていたら、セリフの中で「外部記憶装置から検索してる」というような理由付けをしていて大納得。つまり電脳化してネットに繋がってる人たちはみんなアカシックレコードにアクセスできるようなもので、誰かが何かを引用したらそれに関係する警句やら名言やらをばーっと検索してすぐに引用しかえせるってわけだ。この設定さえあれば登場人物がみんな小難しい問答をしていても不自然じゃない! そりゃあ確かにそんな世界だったらみんないろいろ引用したくなるよね……と、あまり『攻殻機動隊』世界の設定に詳しくない人間としてはへんなところに感心してしまったのでした。