NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

日野日出志蘇腐美(ソフビ)シリーズ

 はてなダイアリー - 日日ノ日キより。「蔵六の奇病」のソフビですってよ奥さん! すごいなあもうなんでもアリだ。
 
 ところで、小学四年生くらいの頃に友達と正しく言葉どおりの意味での同人誌(三人で描いて三部だけしかコピーしなかった)を作っていた。なぜか三人ともコロコロとかジャンプとか、小学生が読みそうなメジャー雑誌のマンガは読んでなくて、そもそも僕ともう一人の友達はマンガ自体あまり読んでなかった。「同人誌」作りに最も熱心だったA君という友人のマンガの趣味はちょっと当時の小学生にしてはおかしくて、楳図かずお白土三平藤子不二雄(主にAのほう)・横山光輝、それに日野日出志なんかをよく読んでいた。僕はやっぱり当時からホラージャンルのものが好きだったので、楳図かずおの『恐怖』とか『おろち』をA君の家で熟読したものだ。でも、日野日出志だけは、絵があまりにもおどろおどろしいので苦手だった(実を言えば今でもあまり得意ではない)。
 そんなマンガ環境に囲まれた我々がどんな「同人誌」を作っていたかと言えば、そこはただの小学生なので画力もストーリー構成力もなく、結果的に四コママンガばかり描いていた。前述のとおり三人で描いて三部しかコピーしない完全に内輪の遊びだったので、四コマのネタもこの三人にしかわからないオチを狙ったものになり、第三者的な視点で読むと吉田戦車の四コマのような不条理な味わいがあったかもしれない。
 五年生の中ごろくらいにA君は転校し、確か中学に入った頃までは文通をしていたのだが、自然消滅的に音信不通になってしまった。中学生になった瞬間にヤンキーになった別の友人から聞いた話では、A君は地元の暴走族に入ったのだという。その話を聞いたときはまだ中学一年生の夏か秋くらいだったはずで、かつて僕に「ガロって雑誌知ってる?」とか聞いてきた早熟(?)でちょっとおかしなあのA君が、ものすごい勢いでどこか知らない世界へ行ってしまった気がして、僕は漠然と、ああ、A君はいなくなってしまったのだ、と感じた。
 そんなわけで、日野日出志という名前を見るたびに、僕はいなくなったA君のことを思い出す。