NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

嵐の次の日、校庭に

 故郷・函館で高校生だった頃、同級生のAさんが聞かせてくれた話。
 Aさんが通っていた中学校は海のすぐそばにあった。そば、というか「海に面している」と言ったほうがいいだろう、道一本隔ててもう海があった。砂浜はなく、すぐに海。テトラポッドに打ち寄せる波の音が、窓を開けると聞こえてくるそうだ。
 函館に台風がくることはまずなかったが、それでも夏から秋に変わる時期には激しい嵐になることがあった。夜中に嵐が通り過ぎ、晴れた次の日の朝のこと。水はけの悪い学校のグラウンドはところどころ小さな水溜りができていた。そこにぴちぴち跳ねている生き物がいる。小鳥が水浴びしているのかと思ったが、よく見ると、イカだった。
「一匹だけじゃないんだよ、何匹もいるの。ほとんどは死んでたけど、生きてるやつはつついたら“ピュー”とか鳴くの。水吐いて」
 同じようなことは何度かあったという。イカのほかにも、魚や昆布などが校庭に「いた」こともあったそうだ。