NGM+その他の欲望

Nightcap Gamer's Memopad, そしてその他諸々についてのサムシング。

ゲーム機不要、インストールも不要のゲーム



 ニトロプラスの『沙耶の唄』がとても面白かったので(ホラージャンルの作品を好きな人間のツボをぐっと突いてくる傑作ノベルゲームだ。特に一番最初の選択肢が見事だった)、先日PS2で出た『機神咆哮デモンベイン』を買おうかどうしようか迷っていた。クトゥルーネタで巨大ロボットで燃える展開との世評だったけど、絵柄がどうもなー、ちょっとつらいなあーと思っていたところ、ファミ通.comにPCでプレイできる体験版が公開されていたので試してみた。
 ……えーと、試してみたところ、やっぱ自分にはちょっとつらいことがわかったのでパスさせてもらったよ。だけど今日の本題はゲーム自体の話ではない。この体験版に使われている技術についてだ。


 公開されたときにちょっと話題になったけど、この体験版はインストールが不要なのだ。と言っても『逆転裁判』のweb体験版のようにFlashで作り直しているわけではない。ゲーム本体が動いているのはサーバ側で、クライアント側(この場合は各プレイヤーのPC)はビデオストリーミングでその「映像」を見る、というシステムになっている。もちろんただのデモ映像垂れ流しではなく、クライアント側からの入力情報(どのボタンを押したか)がサーバに送られ、そこで演算された映像がすぐにエンコードされてクライアント側に戻ってくる、という流れで「ゲームをプレイする」というわけだ。だからわざわざファイルをダウンロードする必要もないし、ビデオストリーミングがある程度安定して見られるブロードバンド回線と映像の描画能力さえあれば、クライアント側の端末の性能に依存せずにゲームが遊べるってえ寸法。詳しい技術的な話はファミ通.comの記事を見てほしい。
・ファミ通.com / 特別企画:新世代ゲーム配信技術“G-Cluster”の魅力に迫る!
 で、実際のプレイ感覚はどうなのよってとこだが、これがまったく違和感がない。ボタン(この場合はPCのキーボード)を押して反応が返ってくるまで、体感できる遅延はほぼ皆無と言っていい。ノベルゲームだからあまり気にならないというのもあるかもしれないが、ファミ通.comの記事にある、iPAQで『QUAKE II』がごく普通に遊べている映像を見るかぎり、激しいアクションゲームでも問題はなさそうだ。これはすごい。『デモンベイン』の体験版はセーブもできちゃうんだからびっくりだ。
 やっぱりストリームの映像なのでところどころブロックノイズが目立ったりするし、この技術があったからといって「これからのゲームはプラットフォームから完全に脱却する! オンライン配信だから流通いらずでコスト削減、いつでもどこでもどんなマシンでもゲームが! ユビキタス・ゲーミングの時代が到来するのだ!」みたいなことにすぐなるかと言えばそうもいかんだろう思うが、さまざまな可能性を秘めた技術だとは思う。

 今考えているのはFPSであったりレース、アクション、RPG、アドベンチャー、シミュレーションなども。カジュアルなパズルなんかもできます。ゴルフとかスポーツも大丈夫ですね。


──それって、家庭用ゲームと変わらないですね!


 そうですね。あとはマルチプレイヤーゲームもサポートしていきます。複数人で……FPSなどでお互い戦って遊ぶとか、PCとSTBPDAとPCで対戦もできます。MMOに関しては、今はまだ実装する予定はないのですが、技術的には不可能ではないので、やろうと思えばできますよ。


(中略)


クライアントに依存しないとか、インストール不要というのはユーザーにとってのメリットなんですけど、ゲームメーカーからすると、プログラムをユーザーに渡さないことになるので……不正コピーの防止などセキュリティ上の問題が大きいかも知れません。また、サーバ側にプログラムがあるので、在庫切れの心配も無く、ずっと店舗に並んでいるのと同じ状況を実現できるのです。ゲーム専門図書館で好きなゲームを選んですぐにスタートすることができるんです。

 しばらくは『デモンベイン』のようにファミ通.comで体験版を公開、という流れが続くようだ。家庭用ハードの体験版をこの技術で配信するのは、サーバにインストールする関係上さくっとできるわけではないだろうが(今回の『デモンベイン』も、ファミ通.comの記事中にスクリーンショットが載っている『Ever17』も、アドベンチャーゲームだというのと、PC版がすでにあるというのとでそこらへんをクリアするのが容易だったのだろう)、ゲームによっては高い金をかけて体験版を作り店頭やイベントで配布するよりもずっと多くの人に、安価でPRできる可能性がある。体験版だけじゃなくてオリジナルのゲームも開発されているようなので、今後も注目したい技術だ。