NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

ハンゲスナフキン

 最寄りの駅の改札を出てすぐのところに、web閲覧専用パソコンが4台設置された。今年に入ってすぐの頃だ。100円を入れると10分間だけ使えるようになる。今更そんなサービスを使う人もあまりいないだろうと思っていたが、駅ということもあってか中高年の人がちょっと調べ物をするのに使っているようだ(路線検索や駅周辺の地図を見ているのだろう)。
 二ヶ月ほど前から、気になる人があらわれた。見たところ20代後半、スニーカー履き、くすんだ色のトレーナーにスラックス、そしてスナフキンのような帽子という出で立ちの男性だ。帰宅時にパソコンの前を通ると、ほぼ必ず彼がパソコンを使っている。どうやらハンゲームなどのwebベースのカジュアルゲームや、オンラインカジノで遊んでいるらしい。
 私は仕事の都合で、帰宅時間が午前1時頃になる日もあれば定時でぱっと帰れる日もある。忙しい/暇のリズムが一定しないため、帰宅時間は常に不規則だ。にもかかわらず、彼はいつもいる。そしてビリヤードやトランプを、暇つぶしとは明らかに違う熱心さでプレイしている。あるときなど2台のPCを使っていた。片一方のPCでカチカチとクリックしてズザッと隣の席に移り、そちらでもカチカチとクリックしてザザッと元の席に戻る。鬼気迫る、とまではいかないが、何かに心を囚われた人の姿だった。
 本当にたまたま私の帰宅時間とかぶるタイミングで遊んでいるだけという可能性もある(低いと思うけど)。でもたぶん、彼はほとんど毎日、何時間もそのPCを使ってハンゲームを遊んでいる。10分ごとに100円を入れなければ使えないPCで。それもとても熱心に。気になる。とても気になる。
 もう気になりすぎてしょうがないので、最近は彼のことを「街の片隅にいる妖精」の類だと思ってやりすごすことにしている。妖精ならば、しかたがない。