NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

アダルトUMDビデオの需要について、見過ごしていた視点から

 アダルトUMDビデオが出るというニュースは、日本市場でのPSPのあまりパッとしない現状とからめてネガティブに語られることが多い。ゲーム機としてのPSPを叩きたくてしょうがない血気盛んな若人たちには格好の燃料になったと言えるだろう。まあそれはともかく、UMDはゲームのみならず映像も再生できるフォーマットなのだから当然いつかはアダルトコンテンツが出るだろうとは思っていたが、こんなにも早く、まだUMD再生機器がPSPのみの時期に発表されるとは思っていなかった、というのが個人的な感想だ。
 UMDビデオの映画ソフトが好調な売り上げを記録しているアメリカでも、このニュースは話題になっているようだ。各種ゲームニュースサイトの他にもBoingBoing8 JaPorn titles coming to PSP this summer)などの有名Blogでも取り上げられ、ゲームファン以外にも広く話題になっているらしい。案の定、WiredNewsでもいつもの気取ったジョーク混じりで報じられている(PSP向けアダルトビデオ、日本で発売に)。別に「なんてこった、日本の恥だ!」などと嘆くつもりはないけど、まあでも、かなり好奇の目にさらされているのは確かなようだね。


 ところで、アダルトUMDビデオに関して(2chゲーハー板的な論争は措いといて)各所で出ている疑問がある。果たしてエロビデオを携帯したいという需要はあるのか、ということだ。ネットやDVDでいくらでもエロ映像が見られるこの時代、わざわざ携帯ゲーム機のちっこい画面でAVを見たい奴などいるのか、電車の中や街中などの公衆の面前で堂々とAVを見ようなどと思う男はさすがにいないだろう、ていうかそれはもう犯罪的な行為なんじゃあないか、迷惑防止条例違反だろう……などなど。確かにそのとおりで、私自身もそう思っていた。出るべくして出たものの、実際のところ買う奴は少ないだろう、と。
 だけど、職場の同僚(家庭持ち)と話していて、ちょっと考えを改めた。
 同僚曰く、たとえ奥さんがいても時にはAVを見たくなることがある。そんなとき、リビングにあるテレビや夫婦共有のパソコンで隠れてコソコソ見るのはたいへん心臓に悪い。PSPでエロビデオが出ると聞いて、「PSPちょっと欲しいかも」と初めて思った、とのこと。
 なるほど! これは目から鱗。私は今まで、あくまで「二十代独身男性・一人暮らし」の視点でアダルトUMDビデオのことを考えていた。まああれだ、エロビデオを見ようと思えばいつでも堂々と見られる環境を基準としてたわけだ。
 だが、同僚のように家庭持ちの男性や、家族と暮らしている男子中高生(あー、18歳未満はエロビデオ見ちゃ駄目だけど、最近の無軌道な若者たちにはそんなルールは通用しない)にとって、エロビデオを見るのは現在でもそれなりにリスクの伴う行為だ。テレビは各部屋にあるかもしれないがDVD再生機も各部屋にあるとは限らないし、PCは家族で使うから居間に置いている家だって多い。それらの条件をクリアしている恵まれた家庭だって、家族が部屋に入ってこないかと常に緊張しながらのエロビデオ鑑賞になるはずだ。
 そこでPSP。確かに画面は小さいものの、この場合は小ささが逆に有利に働く。家族が急に部屋に入ってきても画面を隠すのは容易だ。テレビやPCと違って、家の中で持ち運ぶのも簡単。久多良木社長が「PSPは家の中で持ち運ぶもの。外で歩きながらゲームをする人はいない」と言っていたのもこれを見越してのことに違いない。さすがビジョナリーは違うなあ。電車での移動中にエロビデオ見る奴はいないけど、家の中で持ち運びながらエロビデオ見たい中高生はきっといっぱいいるだろう(どこに持ち運んで見たいのかという野暮なことはここでは書かないぜえ)。


 まあちょっとまぜっかえして書いちゃったけど、正直なところ私にはこの視点は欠けていた。この一点のみでPSPごと本当に買っちゃう人は少ないだろうが、すでにPSPを持っている(法を犯すのも厭わない無軌道で荒んだ)中高生たちにとっては、ある種の福音かもしれない。具体的なユーザー像が見えてなかったので需要があるかどうか微妙だと思っていたが、これはひょっとすると、けっこういけるのかもしれない。うーん、どうですかね?