NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

『オペレッタ狸御殿』

 見てきました。早く見に行かないとほんとに打ち切られそうなので。
 いやー面白かった! 鈴木清順の演劇的な映像美学とめちゃくちゃテキトーな語り口といういつもの魅力に、浦沢義雄(脚本)の東映不思議コメディ的スチャラカファンタジー風味が加わり、木村威夫(美術)と伊藤佐智子(衣装デザイン)の豪華絢爛なデコレーションを施して、大島ミチル白井良明のキュートな楽曲が思い出したように唐突に(笑)流れる2時間弱。素晴らしい。
 とにかく細部の素晴らしさ・キュートさについて語りたくなってしまうような映画なのだが(個人的に最高だったのは由紀さおり平幹二朗が突然始めるラップ。アホみたいにかっこよくて鳥肌たった。とにかく由紀さおりが全編通じておいしすぎる。死ぬとことか最高。あと童女狸の三人組がかわいすぎるとか、薬師丸ひろ子のビジュアルが迫力あるけど歌声は昔と変わらずきれいだなあとか、まあこんなふうにいろいろ語り倒してしまいたくなる)、いわゆる「楽しい日本語ミュージカル」を期待して見に行った人にはちょっと耐え難い内容だと思う(web上の感想を見ていると、この映画とそういう不幸な出会い方をしてしまった人も多いようだ)。ただ、だからと言って(そういう人たちが腐すような)難解で高尚な芸術作品ではぜんぜんなくって、頭の中を空っぽにしながらスクリーンに繰り広げられる不思議な映像と音楽を楽しんでいればいい作品だ。「ストーリー」とか「意味」を考え始めると辛くなってしまうと思うので、それは放り出しておこう。もしくは家に帰ってから考えよう。
 ひとつだけ残念なところは、チャン・ツィイーと並ぶとオダギリジョーがどうしたって見劣りしてしまうところ。変化球だらけのこの映画の中にあってチャン・ツィイーだけが真正面のストレートで素晴らしい(オダギリジョーもストレートのはずなんだが、ちょっと暴投気味のようだ。歌もあまり上手くなかったし……)。
 あと、音楽はすべて浦沢義雄が作詞していた。「恋する炭酸水」という曲がツボだったんだけど、これCMか何かに使われてたかな? どこかで聴いたことがある。とりあえずサントラ買おう。