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NGM+その他の欲望

Nightcap Gamer's Memopad, そしてその他諸々についてのサムシング。

Blogでザッピングアドベンチャー・もう少し考えてみた編



 先日(id:msrkb:20050803:Blogzappinggame1)の続き。「Blogサービスを使って、あるいはBlogを模してのザッピングアドベンチャー」というアイディアについてもう少し考えてみた。


 何かのキャンペーンや、あるいは個人サイトのネタの一環として、フェイクサイト的なものは以前からいくつも作られてきた。だが、「たっちゃんのほめぱげ」等のような高度なネタスキルを持った個人サイト管理人によるもの以外では、なかなか成功例はないように思う。
 特に企業が制作するこの手のサイトは難しい。以前、あるホラー映画の宣伝で「呪いのサイト」みたいなものがあった。映画のほうは実話風味の怪談をフェイクドキュメンタリー的手法で描くという内容で、その宣伝キャンペーンの一環として「見ると呪われるカルトサイト」みたいなのを公開していた。件のサイトはよくある個人のweb日記の体裁をとっているんだけど、ある日の日記に貼ってある写真に「何か」が写っていて、それ以降の日記にだんだんおかしな記述が増えていく……というものだった(記憶が曖昧なので間違ってるかもしれないけど)。
 ただ、これがさっぱり面白くない。どこがいけないかというと、「とてもしっかり作っている」からだ。いかにもwebデザイン会社に発注しました、という抜け目のない作りで、ドメインまで取ってる。個人サイトの稚拙なところがぜんぜんない。つまり生っぽくない。完成品の「コンテンツ」という感じが強すぎて、キャンペーンの一環のネタ/フェイクサイトだと事前に知っていても冷めてしまうわけだ。
 実際のネット上でフェイクサイト的方法論を使い読者参加型コンテンツを作る場合、この「とてもしっかり作っている」感じを払拭するのは難しいだろう。しっかり作ろうとしているのは本当なのだから。ARTIFACT@ハテナ系id:kanose:20050803:snovelhatena)で言及されていたBBSドラマ「マヨイガ」なんかもこの罠にはまってしまった気がする*1
 似たような事態はネット上のフェイクサイトだけではなく、コンシューマゲームにおける「ネットの表現」にも当てはまる。ゲームの中に出てくるwebサイトやEメールやメッセンジャーの「とてもしっかり作っている」感が居心地悪く感じられるときがないだろうか? やりすぎなくらいクールなデザインだったり、過剰なエフェクトがついてたり。毎日使う道具としての生活臭が希薄なインターフェイスなのだ。テレビや映画、小説のような一方通行のメディアで同種のネット表現を目にしても「まあこんなもんか」くらいでスルーできるかもしれないが、ゲームのように実際にそのインターフェイスで操作しなければならないメディアだと妙に気になってくる。
 Blogツールを使って(実際のネット上で)、あるいはBlogを模して(オフラインのコンシューマゲーム等で)ザッピングアドベンチャーを作る場合、この「とてもしっかり作っている」感はかなり薄めることができるだろう。Blogのデザイン/インターフェイスは多くの場合似たり寄ったりだから、それをなるべくそのままの形で持ってくればいい。各登場人物のBlogである程度デザインをカスタマイズして個性を出しつつ、基本的には似たようなテンプレートを使う。はてなダイアリー/グループやlivedoorBlogやココログなど既存のBlogサービス内で展開するなら、さらに生っぽくできる。
 ゼロから最大公約数的な「よくある個人サイト」のイメージに沿ったものを作るのは難しいが、Blogツール/サービスが多くのユーザーを獲得している現在なら、そのテンプレートに乗せることで同時代的な生っぽさ・リアルさをうまく演出できるだろう。閲覧者=プレイヤーも違和感なく参加できる。この話題のもともとの始まり*2であるバイトなのでわかりませんでの

このゲームの世界と、われわれの現実の世界がシームレスに接続できたらかっこいいと思ってたんですよ。
ゲームのテキストと思って、トラックバックをたどって読んでいたら、いつのまにか普通の人の現実の日記とつながっている、そんな感じのイメージではありました。
 →バイトなのでわかりません: やるやる俺もhttp://calendar.exblog.jp/2145036

 というイメージも、似たようなテンプレートのBlogであればフェイク/リアルの境目をかなり曖昧にして繋げられるんじゃないかな、と妄想。ゲーム→現実の流れだけじゃなく、まったく関係ない普通の人の現実の日記が、ある日のエントリだけゲーム世界と繋がっているという現実→ゲームの流れも。


 ……などとさんざん妄想してきたけど、実際のBlogサービスを使ってオンラインでザッピングアドベンチャーを運営するというのは、かなり難度の高いプロジェクトだろう。コメント/トラックバックを解放して閲覧者=プレイヤーが能動的に「ゲーム」に介入できるようにした場合、成功するとかなり話題になるだろうし、上記のような面白い展開もできるだろう。しかし話題になって閲覧者=プレイヤーが増えれば増えるほど、ゲームの運営側にとって想定外・ゲームの進行を妨げるコメント/トラバがくる危険性がある。そこらへんの管理・調整が難しい。
 運営側だけではなくプレイヤーの側も、能動的に「ゲーム」しようとすればするほど、「良きプレイヤー」としての高度なロールプレイのスキルが求められるだろう*3。じゃあコメント/トラバを完全に閉じちゃう、もしくは運営側のBlog同士のコメント/トラバだけを見せるようにする、というのもなんだか本末転倒な気がする。
 また、失踪外人ルー&シー: サウンドノベルはてなid:lu-and-cy:20050802#p1)の冒頭で述べられている、

複数のブログを使ったネット小説のアイデアなんだが、これってネット上でやるよりもサウンドノベル・"街"みたいな家庭用ゲームにした方が面白いんじゃないかという気がしてきた。電車男等によるネットドキュメンタリーに対するシラケムードがたかまる昨今、閲覧者が純粋な気持ち*1で、かつ必ずリアルタイム*2で参加できるという方が面白いんじゃないかと考えたのだ。
*1:純粋に虚構と理解してる状態だったとしても
*2:それが擬似的なものだったとしても
※強調は引用者

 「必ずリアルタイムで参加できる」という点が、「ゲーム」としては重要になってくる。これを流動的なオンラインで実現するのは難しい。
 ……だが! 砂上の楼閣を二世帯住宅にするがごとくさらに妄想を重ねて! この問題は解決できた! プラットフォームはXbox360。誰でも無料で使えるコースが増え、オフライン/オンラインの状態が完全にシームレスになるという新しいXbox Liveを活用! さらに『HALO 2』のilovebees.comキャンペーンやourcolony.netキャンペーンで培ったMSのネットプロモーションのノウハウを投入! オフラインの「複数のBlogを舞台にしたザッピングアドベンチャー」をプレイしているつもりが、いつの間にかオンラインになっていて本物のネット上にあるBlogと繋がっている! コメントやトラックバックでシームレスに、複雑に絡み合う「リアル」なオフラインとオンラインのリアル!
 というのはどうでしょうか、チュンソフト/ドワンゴさんとMSさん。

*1:ARTIFACT@ハテナ系で疑問としてあがっていた『HALO 2』のilovebees.comキャンペーン(http://www.ilovebees.com/)が成功した理由のひとつもこれだと思う。非常に手の込んだサイトだが、「ごく普通のおばちゃんがちゃっちゃっと作ったサイト」的なデザインがベースになっているため、多額の資金をつぎ込んだプロモーションの一環には見えないような生っぽさが出ている。
 また、ティザーキャンペーン(それもかなり注意して見ないと全貌が掴めないほど情報を小出しにした)であることも成功の理由だろう。このサイトの存在は劇場で流れた『HALO 2』予告編の最後に一瞬だけ表示されるURLでのみ告知されたという。もしもそのURLにあるのが『HALO 2』のキャンペーンサイトだとすぐにわかるようなサイトならさほど大きな話題にはならなかったはずだ。同様のことは映画『A.I.』のキャンペーン(http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20010507206.html)やXbox360のourcolony.netキャンペーン(http://ourcolony.net/)にも言える。こちらのほうは生っぽさは希薄かもしれないが、サイトの存在する意味そのものが謎に見える。そのため閲覧者は自分からすすんで情報を集めようとするし、他のネットユーザーとも情報交換をする=話題になる。
 「マヨイガ」などの場合は、サイト上の仕掛けも見るからにしっかりと作りこんだうえに、生真面目にプレスリリースや発表会まで開いて「これはこれこれこういうキャンペーンで、こんなふうにして閲覧者に遊んでもらいます」と最初から手の内を全部さらけ出してしまっている。親切だけど、ミステリ小説のラスト10ページまでをダイジェストで紹介して「果たして犯人は? トリックは?」とやられても考える気がおきない、そんな感じじゃあないかしら。

*2:バイトなのでわかりません: 8ブロガーズ http://calendar.exblog.jp/2135786

*3:ここらへんは人狼BBSのプレイヤーが求められるスキルに近いかもしれない