NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

松田ヒロミと火田七瀬

 コンビニ向けの再編集廉価版コミックスで西岸良平の『ミステリアン』が売っていたので読んだ。高度な文明を持った惑星から地球へ、人類を観察するためにやってきたミステリアン=松田ヒロミ(地球年齢で二十歳)。高度な文明を持っているがゆえに、あらゆる“人間的な”欲望や情動とは無縁のはずの彼女だったが、地球に長く住んでいるうちにいつしかごく普通の人間と同じように金やセックスや名誉を追い求める「地球病」にかかってしまう……という、いつもの西岸タッチで基本的には人情モノの、こじんまりとしたSFマンガだ(とはいえ最後の最後でああなるところはたいへん王道の「SFマンガ」っぽい)。
 で、各エピソードは松田ヒロミがさまざまな人間たちを観察対象としつつ、ある一定の距離を保って交流し、最後は去っていくという構成をとっている。読んでるうちに何か他の物語の登場人物に似ているなと思ってもやもやしてたんだが、さっきやっと気付いた。火田七瀬だ。『ミステリアン』の前半は『家族八景』の七瀬で、後半は『七瀬ふたたび』のほうの七瀬的なキャラクターと言えるんでは。

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

 最近の『家族八景』はこういう表紙なのか。『七瀬ふたたび』はまだ昔のまま、真鍋博のカバーイラストなんだね。