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森ガールの語源について

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“森ガール”って何?そのスタイル、行動パターンとは


 上記リンク先では(たぶん敢えて)触れていないが、そもそも「森ガール」の語源は、1970年代初期の日本のコミューン運動「森の会」に由来する。
 森の会は自然との共生と原始共産制を目指した運動体であったが、実際に森に住んでいたわけではなく、指導者・森克也の名字をとったものである。末期には半ばカルト集団的性格を帯びるほど森のカリスマ性は強く、殊に女性メンバーは彼を熱狂的に信奉する者が多かった。森の取り巻きとなった女性メンバーたちの服装はいつしか皆似通ったものになり、コットン素材の緩めのワンピースを着用し*1、野生動物の毛皮で作った肩掛け鞄を携行するというのが、森の会コミューン内の女性メンバー間の暗黙の了解となっていった。森に批判的だった非主流派メンバーがそれを揶揄して「森ガール」と呼んだのが始まりなのである。
 70年代後半には非主流派の多くは森の会を離れヤマギシ会に合流し、残された森克也と森ガールたちは急速にカルト集団化していく。森克也と森ガールの凄惨な末路に関しては、コリン・ウィルソンが『現代殺人百科』『カリスマへの階段』など複数の著作で、同時期に起きたガイアナ人民寺院事件と比較して考察している。ウィルソンによれば、森と人民寺院のジム・ジョーンズには多くの共通項があるとのことである。
 なお、奥泉光の小説『葦と百合』は、カルト化する以前の森の会をモデルにしている(小説中では「葦の会」)。

*1:森の趣味であったと思われる