NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

立ちこぎ

先日の続き。だけどWizって、日本では本家とは微妙に違う受容のされかたをした結果、今は別系統の進化をしていて、まあラーメンとかカレーとかトンカツみたいな感じになってるよね。
この受容のベースになっているWizはゲームスタジオによるファミコン移植版I〜III、端的に言えば末弥純のイメージイラスト、モンスターイラストによって形作られた「あの」ウィザードリィだ。つまり、「カシナートの剣」は名匠カシナートの手による業物、という世界観を選択するのが本邦におけるウィザードリィ受容の本流だろう。
ここ10年くらいはいわゆる「JRPG」的イメージ(ライトファンタジーライトノベル的想像力)の対立項、ハードでストイック、物語を過剰に語ることへのアンチテーゼとして、和製WizシリーズとそのフォロワーのダンジョンRPGが根強いファンを獲得し、しかしチーム ムラマサの一連の仕事や『世界樹の迷宮』などでジュブナイル/ラノベ的想像力・萌え系コミック/アニメ的ビジュアルを得たことで、さらにもう一段階変容を遂げたような印象だ。シンプルな醤油ラーメンが背脂チャッチャ系になったような感じだ……なんかうまいこと言おうと思ってよくわからん例えになったが、まあその流れでいくと、『Wizardry Online』の伝説の冒険者・ゼロってのも別に違和感ないのかもしれない。そんなことを考えながら、初心者迷宮の下水道の奥で盗賊を狩っていた。わりとサクサク死んだ。盗賊じゃなくて俺が。


今日は髪を切りに床屋へ。行きつけの床屋へは自転車で行くのだが、途中にけっこう急な上り坂がある。俺はいつもこの坂にさしかかると自転車を立ちこぎするのだが、最近は、34にもなるむさ苦しい男が自転車の立ちこぎってどうなんだ、ということを坂を上っているときによく考える。しかも自転車はジャスコで一万円のママチャリだ。これは相当みっともないのではないか、しかし自転車を降りて坂の上まで歩いて引いていくのは、これはこれで情けない気もする。まだ立ちこぎで行けるのだ、それがどれだけ無様であろうと、立ちこぎをすべきなのだ……などという愚にもつかない、安いハードボイルド、やせ我慢的自己陶酔をしながら、坂の上まで立ちこぎをし、そのあと惰性で坂を下り、だんだんスピードが乗って俺と自転車は弾丸、いや重爆撃機になって交差点に突っ込み、いたいけな子供やかわいいワンちゃんや杖をついた老婆をはね飛ばして進む、大統領を轢き殺したらスペシャルボーナス! バーイシクル、バーイシクル! ダウンヒルでの戦闘力に定評のある俺と俺のカーが血肉の轍を後に残して爆走する! ところで『爆走マウンテンバイカーズ(Downhill Domination)』(PS2)って面白かったよね。ああいう感じのゲームがまたやりたいな。