NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』感想


↑なんかこの予告編だとすごいサスペンス大作っぽく見えなくもないが(あと悪い意味でTVドラマの映画版っぽく見える)、実際の所はもうちょっとこぢんまりとした話だ。


前作に引き続いての堂々のウェルメイドっぷりで好ましい。素晴らしい傑作とかではなく、ぶっちゃけべったベタにベタな「よくある話」の私立探偵ものなのだけど、これくらいがちょうど良い湯加減で、いい気分で劇場を後にする感じのアレ。『チャイナタウン』とか『ロング・グッドバイ』とかじゃなく、ジャック・スマイトの『動く標的』くらいのセンを狙うというような、それくらいの塩梅。

あと、前作は東映セントラルフィルムを狙って終盤でちょっとスベってた感があったけど、今回は前半のトーンがセントラルフィルムじゃなくて「東映」って感じだった。ストレートに泥臭い感じ。悪い意味じゃなく、こっちのほうが身の丈に合ってるなーと思った。以下、物語の核心に関係することを書くので畳みます。






後半、事件の真相に近づくにつれシリアスというか時事的なモチーフ(反原発運動とその支持者の一部の暴走、持たざる者が他のマイノリティに向けるヘイト)が顔を見せるがそこまで深入りはしないあたりの身のこなし方もプログラムピクチャーっぽい軽やかさだ。あのー、(本作の脚本家も参加している)『相棒』とかだとそういう局面入ると「説教」展開になりがちじゃないですか脚本家によっては。というか『相棒』に限らず、日本映画・TVでちょっとアクチュアルな題材を扱うとだいたいつまんない「説教」展開になるんだよね。ほんとつまんない。本作はそこに敢えて踏み込まず、プログラムピクチャーであることを選んでいる。安易な「説教=結論」に逃げず、あくまでひとつのモチーフに止めている。その身のこなし。

役者陣に関して。主要キャスト陣は安定していい感じだが(2作目にして完全に生きたキャラクターになった)、本作の謎の中心となるオカマのマサコちゃんを演じたゴリの、前半でのたいへんベタな「オカマ」演技、からの後半のしんみりした芝居(渡部篤郎と再会するところなど)は特に印象に残る。また、「学生」を演じた近藤公園の豹変っぷり、あと佐藤かよの可憐さも忘れがたい。

第三弾も決定したようなので、一年に一本くらいのペースであと五本くらいは見たい気分になりました。