NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

ウルトラセブン「超兵器R1号」と円谷幸吉

前から気になってるのだが、『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」(ギエロン星獣の回)でモロボシ・ダンが言う名台詞

「それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」

は、円谷幸吉が自殺した事件を踏まえたものだったのだろうか。

父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿 もちも美味しうございました。

で始まる、あの有名な遺書を残して自死を選んだマラソン選手のことである。

円谷が自殺したのは1968年1月9日、「超兵器R1号」のテレビ初回放映が68年3月31日……ということを考えると、事件後に脚本を書いたというのは時間的に微妙な気がする。

が、仮に偶然の一致だったとして、当時の視聴者は円谷の自殺を連想せずにはいられなかったのではないか。円谷は自衛官でもあったわけで、その点でもこのエピソードのテーマに絡めて連想が働きそうだ。

エピソードそれ自体の問題提起とともにその連想が強烈に働き、いわゆる「名台詞」として人口に膾炙するのに拍車をかけたのでは……と前から想像してるのだけど、どうでしょうね。ある種の無意識の受容史として。

まあ当時の視聴者、というのはそのほとんどが子供だったわけなので、見てすぐに円谷選手を連想したかというとそうでもないかもしれない。でも長じてからもウルトラが好きで拘りを持ちづけた者たちが(つまり特撮オタクたちが)、偶然かもしれないとしてもその時代的連関(に、見えるもの)に気づかないわけはないと思うんだよね。