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NGM+その他の欲望

Nightcap Gamer's Memopad, そしてその他諸々についてのサムシング。

リアル中学生の雄叫びを受けとめろ! 『ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン』(2015.4.4~11 天王洲 銀河劇場)



チケットが余ったという人に誘われて、天王洲の銀河劇場で『ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン』という舞台を見てきた。作・森雪之丞/作曲・布袋寅泰。初演は2012年で、このときはいのうえひでのりが演出、福士誠治北乃きい綾野剛などが出演とのことだったが、今回は演出・キャスト一新で、こないだまで『ミュージカル テニスの王子様』(いわゆるテニミュ)で越前を演じてた小越勇輝が主演。ということで会場の女性率はたいへん高かった。演出は茅野イサム。

→公式サイト:ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン

……というのは帰ってきてから調べたことで、誘われた俺はタイトルと布袋寅泰が音楽を担当していることくらいしか知らずに見たのだが……いやこれがね、びっくりした。「神」「天使」「悪魔」「救世主〈メシア〉」という単語と歌が飛び交う、“中学生が考えるカッコよさ”が充満した作品だった。いやすごい。初演のときの公式サイトから粗筋を引用してみよう。

――どこか懐かしい近未来。

人気急上昇中のロックバンド“サイケデリック・ペイン”のヴォーカル・詩音の前に現れた謎の美女ソフィ。自らを天使だというソフィは、“ブレイン・スクエア”のハッキングで毎夜詩音に、「世界を救えるのはあなただけ。あなたが救世主です。」と訴える。大天使ミカエルを復活させるための3つの鍵、その最後の鍵『救世主(メシア)の孤独』を、詩音が隠し持っているというのだ。
いつしかソフィの存在は、人知れず“孤独”を抱えていた詩音の心に、特別な感情を芽生えさせた。

ある日、異変に気づいた“サイケデリック・ペイン”のギター・魁人に詰め寄られ、詩音はバンドを辞めると言い出す。
――信じ続けたROCK、夢に向かって共に歩んできた仲間たち…それらを捨ててでも、ソフィを守る。ソフィへの思いは、“愛”に変わっていた。

救世主の宿命を背負った詩音と、そんな彼を放っておけない魁人、そしてバンドのメンバーは、復活をめぐる“天使”と“悪魔”の争いに巻き込まれていく。

 この粗筋はかなりわかりやすく書かれている。実際の舞台では、主人公・詩音(シオン)のキャラクターがシーンによってぶれたり、対立する勢力のそれぞれが何を目的に行動しているのかが途中でしっちゃかめっちゃかになって意味不明になったり、まあちょっと、いやかなり構成に難がある。

だがキャラクターの内面がどうだ物語の構成がああだというようなレイヤーをすっ飛ばして、クライマックスに近付くにつれ「この物語はリアル中学生によって書かれているに違いない!」という思いがどんどん強くなっていく。神、悪魔、天使、救世主〈メシア〉、なんていうモチーフはロックミュージカルではよく使われるものだけど、違うの、そういうんじゃなくて中学生の想像力の中にある「神」「悪魔」「天使」「救世主〈メシア〉」なの。そして「ロック」なの。あ、あと「アンドロイドとの恋」もある。つまり本気度高いパッションの迸りがあるのだ。「中二病」とか「邪気眼」というようなネタ的な手仕事ではなく、「これがかっこいいんだ!」という純度1000%の「中学生」の雄叫びを俺は確かに聴いた。中学生が夜中にオールナイトニッポンを聴きながら書き始めて、西本願寺やらキリスト教やらの提供番組が終わるあたりで書き終えた(そして読み返さず寝た)感をビンビンに感じる。

とにかくすごくて二幕中盤からニッコニコしながら見てたんだけど、さっきも言ったように事前知識何もなしで見たので、劇場出口で改めてポスターを見て「作・森雪之丞」と書いてあるのを見つけて思わず声が出た。雪之丞先生あのお年になっても心に中学生が生きてるのマジすげえ……それとともに、心の中学生のパトスを加工せずそのまま通すというのは森雪之丞レベルの大物だからこそできたんだなー、とも思った。とにかく、いい体験をしました。

そんな感じで凄かったんですが、それ以外の部分の感想を述べるなら、振り付けは全般的にキュートなところがあって良かった。役者陣も好演。特に主演のおごたんこと小越勇輝が、尾崎豊がライブでMCするときみたいな前のめり感のある芝居をしてたのがたいへん良かったので俺のニッコニコ度はさらにUpした。個人的には『仮面ライダー鎧武』の湊さんこと仮面ライダーマリカ(桃)役の佃井皆美が歌も達者なのを見られてよかった。ファンサービス(?)でアクションシーンも無理やり気味に用意されてて眼福。志穂美悦子の衣鉢を継ぐのは君だ! 武田梨奈とバトルする映画を誰か撮ってくれ。

なお、東京公演は終わったけど、この後福岡・大阪でも公演するとのこと。