NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

『アムステルダム・ウェイステッド!』について曖昧に

 ところで、誰も気づいてくんないだろうからここで書くけど、あの話の最後に書いてる「ロッテルダムアムステルダム! ウェイステーーッド!!! ウォーッドンドンドン(←関係ない)」っていうのは『アムステルダム・ウェイステッド!』っていう(たぶん世界初の)全編デジカメ撮り商業映画のラストからの引用だ。つまり本当に本文とは何の関係もない。
 どういう映画かと言うと、アムステルダムでクラブDJとして一旗揚げてやろうとした主人公が刹那的愛欲とか麻薬とかに溺れて、立ち直ったかもしれないしそのまま堕ち続けたかもしれなくて、最後に何らかの結末を迎えるという、よくあるユースカルチャー映画だ。ていうか主人公が男か女かさえ覚えてないので話半分に聞いてもらいたいけど、あれさ、暴力とかを冷めた視線で描くようなタイプの。若者風俗ものでおしゃれ☆ちょっとアブない☆的な。そんな映画。当時(98年くらいかな)某映画雑誌で、公開中の映画のあらすじとかスタッフ・キャストのデータを書く仕事をアルバイトでやっていて、この映画もその関係で見に行ったのだ。
 別に面白い映画ではなかったけど、ラストのカットで(けっこう絶望的な結末だったはずだが)唐突に、最高に頭悪そうなジャンキー系DQNティーンエイジャー二人組(上半身裸)が廃車のボンネットで飛び跳ねながら「ロッテルダム! アムステルダム! ウェイステーーーッド!!! ウォーーーーッ!!」と叫ぶのだ。「ドンドンドン」は飛び跳ねる音ね。
 この二人組はこのカットにしか出てこなくて、たぶん素人。ほんと唐突にこのカットが挿入されてそのままスタッフロールに雪崩れ込むので特に意味のないシーンなわけだが、これがあったおかげで重苦しい結末が一気に清々しく突き抜けたものになって印象的だった。というかここしか覚えてないです。


 で、なにが言いたいかというと、ヨーロッパでメガデモ作者として飯野賢治改め「eno」と名乗り新たなスタートを切った記念すべき日……狂乱と興奮のパーティーが終わり、白々と夜が明けた頃、シャンパンとマリファナで朦朧とした頭をすっきりさせようとクラブの外に出たイノケンが、ああ、これが俺のアートでありロックなんだ、ワープというバンド活動なんだ! と垂直立ち上げ的に盛り上がってしまい、思わず廃車の上に乗っかり上半身裸になって両手を高らかと上げ「ロッテルダム! アムステルダム! ウェイステーーーッド!!! ウォーーーーッ!!」と野太く叫び飛び跳ねる……そんな心躍る絵が浮かんでしまったので付け足したのがあの一節だったのだ、ということ。ていうかそんなの説明しないと誰にも伝わりません。