NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

『Prey』体験版インプレッション

 『Prey』の体験版が公開されていたので遊んでみた。僕が遊んだのはPC版だが、北米では360用の体験版もマーケットプレイスで公開されているようだ(要北米版Xbox Liveアカウント)。
 『Prey』はSFホラーテイストのFPS。簡単に言えばDoom系の、薄暗いダンジョン的なマップを舞台に悪魔でゾンビで且つ機械とハイブリッドなビジュアルの敵を「Ugghaaaaa!」とか雄叫びを挙げてブチ殺していくタイプのゲームだ。あまりむずかしいことをかんがえられないおれやきみのためのゲームです。まあお話が脳天気じゃなくてシリアス系なので、そこまで頭悪いオーラは出てないけど。
 本作はDoom3エンジンを使用しているので、最近ちょっと食傷気味な例のメタリックでヌルッとした質感の絵なわけだが(鉄と腐り生肉って感じのな)、ステージ内の重力の方向を任意に変えられる仕掛けや、重力を無視して歩ける道(床から壁、天井までぐるりと続いていて、その道に乗っている限りは逆さまになっても落ちない。当然敵もこの道に乗って天井から攻撃してきたりする)、そしてエリア間を繋ぐ四次元ワープホールのようなフィーチャーの積み重ねが飽きさせない。
 特にワープホールは、ゲームのビジュアル表現としてはなかなか新しい。空間に突然光の輪が発生し、その輪の中の「向こう側」に違うエリアが見える(そして「向こう側」に攻撃することもできる)。まあどこでもドアみたいなものですね。このどこでもドアによって小さなエリアがいくつかシームレスに繋がっているというマップ構成で、テンポのいいゲーム展開になるとともに、ちょっとした印象的なシチュエーションを実現している。
 例えば、ある部屋に入るとスイカ大の隕石のようなオブジェがガラスケースに飾られている。その隣に発生したワープホールに入ると、そこはなんとオブジェの表面、見上げるとガラスケースの向こうにはついさっきまでいた部屋が広がっている。プレイヤーキャラは虫くらいの大きさになってしまったというわけだ。しょうがないのでオブジェの表面をうろうろしていると、部屋にエイリアンたちが入ってきてオブジェの表面にへばりついているプレイヤーキャラを発見、ブギョー!みたいな雄叫びをあげてワープホールに入り続々とオブジェの表面にやってきて戦闘開始! ……とまあ、どこでもドアの例えじゃないけど、なんか藤子Fチックな展開もあったりしてたいへん楽しい。ていうかわざわざワープしてこなくてもオブジェごと破壊すりゃよくね?って気もするがまあいい。
 まあそんなわけでゲーム自体も面白かったんだが、ストーリーもちょっといいよ。主人公はネイティブアメリカンの青年(チェロキー族)。たぶんあまり暮らし向きは良くない。今日も酒場のトイレで鏡に向かって自問自答してる。こんな田舎町からさっさとおさらばして、華やかな都会に行きたい。だけど同じチェロキーの彼女はそんな気がさらさらないらしく、安酒場のバーテンとして働くことに満足してるみたいだし、爺ちゃんは顔を合わせればチェロキーの誇りがどうだこうだと説教してくる。しみったれた毎日。俺はもっと違う何者かになれるはず……そんなある日、彼女の酒場で客とトラブった主人公は、手にしたスパナで相手を思いっきり殴り倒してしまう。やべ、俺、これちょっと、マジ殺しちゃったかも、ど、どうしよう爺ちゃん……俺、こんなつもりじゃ……狼狽する主人公、彼女、爺さん。その時、突然の轟音と共に、巨大なまばゆい光が酒場に差し込む! 屋根が吹っ飛び、ジュークボックスやスツール、そして倒れた客が次々と、光に吸い込まれるように天へと昇っていく。やがて主人公たちも……目覚めるとそこは、機械と生物が融合したような不気味な宇宙船の中だった。囚われた人間たちが、巨大な圧搾機にかけられ血肉のジュースにされていく、地獄の食肉工場。ひとり逃げ出すことに成功した主人公は、恋人を救うため戦いを開始する。
 ってな感じの導入部(テキトーにまとめた)。主人公がチェロキーの血を引いてるってことで、スピリチュアルなフィーチャーもある。ゲームの途中で、主人公は自分の身体と魂を分離させる術を得るのだ。魂状態でしか行けない道や押せないスイッチなど、ちょっとしたパズル要素があるんだが、それよりも、SFホラーにこういう要素を突っこむところが、ちょっとスティーヴン・キングの小説みたいでゲームとしては目新しいかなと思います。うーん、プレイしてるとキングっていうかロバート・R・マキャモンっぽいかなとも思うけど(キングよりもうちょっといい感じに安くて軽いという意味で)。
 体験版のシングルプレイはだいたい一時間弱くらいのボリューム。マルチプレイもついてるのでお得だ。ゲームとして、というよりも物語の展開が個人的に好みだったので、製品版が出たら買ってみようと思います。
・『Prey』体験版ダウンロード(4Gamer.net)
・体験版ファーストインプレッション(PCゲーム道場)