NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

ケイン&リンチ&タランティーノの仲間たち

 『ケイン&リンチ: デッドメン』。海外サイトでの評判はあまりよくないようだし、動画を見てもなんか微妙臭漂うゲームなんだが、どうにも気になるんだよな。宣伝にだけ力を入れてゲーム本編は突貫でやっつけたようなタイトルだ、という評価をどこかでみたけど、そういうところも含めた「安い」感じ、ちょいとだまくらかして小金を掠め取ってやろう的な山師感覚……ってのは言い過ぎかもしれないけど、どうもそんな匂いのするものが好きなんだなー、ゲームに限らず。存在の耐えられない安さ。
 『ケイン&リンチ: デッドメン』は、90年代中頃の「タランティーノの仲間が作った映画」とか「インディーズ出身のポスト・タランティーノの呼び声も高い新人監督の映画」を思い起こさせる雰囲気がある。タランティーノ本人じゃなくて、あくまで「仲間」とか「ポスト」な人たちね。どんだけ仲がいいのかとか、どこで呼び声が高くなってるのかとか、そういうところは聞くだけ野暮な。まあつまり、タラ公バブル周辺で雨後の竹の子よろしく出てきてた一連のアレだ。5年たったらまったく顧みられることもなくなってしまったような、どうしようもなく安っぽく、でも同時代的には一瞬だけスポットライトを浴びることができた、幸運、もしくは不運。安っぽいもののみが時として持つ、ぎらぎらした輝き。血のぬめり。硝煙の匂い。汚い言葉。レンタルビデオの荒れた画質を通して見た、殺したり死んだりするためだけの人間たち。そのような種類の、どこか懐かしいチープさを勝手に読み取ってしまって、密かに期待していたりもする。
 タイトルのとおりケインさんとリンチさんの二人が主人公で、リンチさんはちょっと精神を病んでる風味らしいんだが、Co-Opでリンチをプレイヤーキャラに選ぶと、彼の病んだ精神で見た風景が展開されるらしい。ケインでプレイしていたときは普通の風景なのが、リンチでプレイするとぐにゃぐにゃ歪んでいたりとか。そこはちょっと面白そうかも(ただこのフィーチャーが、オフラインの画面二分割プレイでしか見られないというのはもったいない気がする)。
 あとは、オンライン対戦のルールが独特で面白そうだ。
・スパイク、「ケイン&リンチ: デッドメン」体験レポート いつか誰かが裏切るスリル!! “フラジール・アライアンス”に注目

 前述の通り、このゲームモードは、金品を盗んで脱出するのが目的だ。強盗側の各プレーヤーが奪った金品の額によってスコアランキングが付けられるため、単に強盗を成功させるだけでなく、他のプレーヤーより1ドルでも多く奪わなければならない。しかし、強盗できる金品には限りがある。敵との交戦に手間取っている間に、仲間に金品を回収されてしまっていることもある。このような状況下で、他の仲間より多く金品を獲得するてっとり早い方法は、仲間を殺し、仲間が所持していた金品をそっくりそのまま奪って逃走することだ。それをシステム的にカバーしたゲームモードが「フラジール・アライアンス」というわけである。
(中略)
 このゲームモードは、「Counter-Strike」のようにラウンド制になっており、総ラウンド終了時点の獲得総額によって順位が決まる。このため、ラウンド途中の順位によっても、様々な駆け引きが生まれてくる。序盤から裏切りまくるプレーヤーは、他のメンバーから信頼されないだろうし、序盤は従順におとなしく振る舞いつつ、メンバーの信頼を得た後半の決定的なタイミングで大裏切りを実行し、金品を独り占めにするといった戦術も可能だ。「いつ仲間を裏切るか」という前例のない決断に頭を悩ます感覚が非常に楽しい。

 ただこれも、サーバに人がいないとそもそも対戦できない、という危険性があるしなー。『シャドウラン』『Army of Two』とか、話ではずいぶんお寒い状況だったようだが、さてさて。

ケイン&リンチ:デッドメン

ケイン&リンチ:デッドメン

ケイン&リンチ:デッドメン

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