NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

It's hot, it's steamy……ノキア N-Gageのサウナキャンペーン

 日本ではリリースされなかったので知名度は低いが、ノキアの携帯ゲーム機型スマートフォン「N-Gage」っていうのが昔あった。こんな端末だ。





 見た目はまさに携帯ゲーム機。対応ソフトはカートリッジで提供されていたのだが、ソフトを入れ替えるときは裏蓋とバッテリーをはずさないといけないという、えらく面倒な仕様。そしてしっかりスマートフォンでもあるので、通話もできるわけだけど……なんとこの端末を縦に持って耳に押し当てるという、マギー審司の「おっきくなっちゃった!」みたいな間抜けなスタイルで使わなければならない。発売当時のGameSpotのビデオレビューで、電話として使っているところが出ているので(以下のビデオの冒頭部分だ)、どれだけ間抜けかを見てほしい。





 この「タコスを耳に当てているような」通話スタイルが話題になって(もちろんマイナス方面に)、各種ゲーム機やPCやその他いろんなものを耳に押し当てて「N-Gage Style」とか馬鹿にするサイトが作られたりもした→Totally Sidetalkin' Nokia N-Gage Style!!
 2003年10月に日本と韓国を除く全世界で大々的に発売されたN-Gageだが、ノキアの「ゲームボーイアドバンスに対抗する」という壮大な野望は、ハードとしての仕様の中途半端さやパッとしない対応ソフトのラインナップもあってあっさり潰えてしまう。当時の状況として、携帯ゲーム機市場では一人勝ち状態のアドバンス、その牙城へ斬り込むべく2003年5月のE3前日に電撃的にその存在が発表されたPSP、迎え撃つ形で同年8月に「異質な商品を開発している」とだけ発表されさまざまな憶測を呼んだ(後の)ニンテンドーDS、というように、翌年以降の「携帯ゲーム機戦争」前夜の激動の時代だったわけで、ノキア的にはあまりにもタイミングが悪かったのかもしれない。
 一応、ATARILYNXに対するLYNX IIのような改良型「N-Gage QD」も後に発売されたものの、2005年には「携帯電話プラットフォームの進化を待ち、少なくとも2007年まではN-Gageの後継機はリリースしない」という見解が出され、事実上の"N-Gage終了のお知らせ"と思われた。
 が、「N-Gage」のブランドは2008年になって復活、新たに「モバイルゲーミングプラットフォーム」として新生した。以前のように専用の端末をリリースするのではなく、オンラインのゲームダウンロードサービスへと変貌を遂げたのだ。ノキア製のN-Gageサービス対応携帯電話を使って専用サイトからゲームをダウンロード購入、Xbox Liveのようなフレンドリストや、通信対戦もできるという。→Nokia、モバイルゲームサービス「N-Gage」立ち上げ - ITmedia News
 前置きが長くなった。最近、Gamasutraなんかをざーっと眺めていると、妙に味のある表情のおっさんの広告をよく見かけることがあった。





 気になったのでリンク先に飛んでみると、これが新生N-Gageサービスのプロモーションサイト――その名も「Sauna Talk(サウナ・トーク)」だったのだ!
 "It's hot, it's steamy and we're talking about mobile gaming."ってことで、サウナ・トークの名のとおり、N-Gageの開発者の人にこのおっさんがインタビューする……サウナで。








http://www.insider.n-gage.com/saunatalk/


 さすがフィンランドを代表する企業・ノキアだ! フィンランドといえばサウナ! だからサウナ・トーク! ノキア本社にはサウナルームが完備されていて、重要な会議の際は重役専用のサウナで詰めの交渉が行われるという……いやほんとに。というか、ノキアに限らずフィンランドではサウナ会議が一般的なビジネス習慣らしい。日本であれば「高級料亭」くらいの感覚だろうか。
 まあそんなわけで、なかなかユニークなプロモーションだと感心しました。あと、このインタビューで初めて「N-Gage」は「エヌ・ゲージ」ではなく「エンゲージ」と読むことを知った。





 キメのポーズ+合言葉「サウナトーク!」はちょっと流行らせたい。

なぜノキアは携帯電話で世界一になり得たか―携帯電話でIT革命を起こす

なぜノキアは携帯電話で世界一になり得たか―携帯電話でIT革命を起こす

ノキアのサウナ会議についてはこの本に詳細が載ってるらしい。