かつてベストセラーを出したものの今は鳴かず飛ばずの犯罪ノンフィクション作家エリソン(イーサン・ホーク)。彼は、家族が庭の木に吊されて殺されるという事件のあった家に引っ越してくる。もちろん次作のネタにするつもりなのだが妻子には秘密だ。荷ほどきの最中、エリソンは屋根裏で8mmフィルムと映写機の入った箱を発見する。フィルム缶には「家族いっしょに」というタイトルが。訝しく思いながらも映写してみると、件の一家惨殺の様子が撮影されていた! 箱の中にはまだ他にも何本かのフィルムがある……。驚愕するものの、これはベストセラーを再びものにするチャンスと調査にのめり込むエリソン。だがしだいに家の中に不気味な気配が満ちていき……。
『パラノーマル・アクティビティ』『インシディアス』などを手がけたプロデューサー・ジェイソン・ブラムが製作、『エミリー・ローズ』のスコット・デリクソンが監督したオカルトスリラー。
ということで、日本未公開のホラー映画をガンガンレビューしちゃう系Blogの記事と予告編で気になったので見ました。若干ネタバレ的なこと(クライマックスじゃなくて中盤で明かされること)を書くので一応折り畳みますよ。
基本的にあまり事前情報を仕入れないで見に行くほうなんだけど(だいたい予告編レベルの情報まででストップしておく)、俺はてっきりスナッフフィルムもののスリラー(深淵を覗いた主人公もおかしくなってしまう系の)だと思ってましたよ。純然たるスーパーナチュラルなホラーでした! でもこれはツイストというほどじゃなくて中盤で提示される。まあその「提示」のしかたがちょっとこう……ダサいんだけどさ……。それはともかく、主人公家族と舞台となる家の設定からして、スティーヴン・キングが『死の舞踏』で語っていたところの「経済的ホラーとしての幽霊屋敷もの」だし、勘のいい人ならすぐ気づくだろう。「経済的ホラーとしての幽霊屋敷もの」ってのを簡単に説明すると、引っ越したり家を買ったりするんだけど不運にもそこは因縁ある不吉な場所で、今にも恐ろしいことが起こりそうだが経済的理由でその場を離れられないので悲劇が深まる、という展開の物語。超自然的な恐怖から逃れたいが、職や預金額や子供の将来を天秤にかけなければいけなくなって親である主人公の精神がどんどん削られていくという現実的な恐怖をスパイスとして用いるわけですね。
さて、じゃあスーパーナチュラルなオカルトものだとしたら肝心の恐怖演出はどうなのかというと、その「予兆(Sinister:原題)」のくだりも含めてなかなかいい。でも、どうも劇伴がいただけない。音楽で多くを語りすぎ、怖がらせようとしすぎている。予兆じゃなくて「結果」って感じなんだよなー。そこだけが残念。
特に凄惨な殺人の様子を撮影した8mmフィルムは、映像自体は禍々しい感じが良く出てたのだけど、そこに念押しとばかりに「禍々しい感じの、若干メロディアスな音楽」を被せちゃってるので脱力した。8mmフィルムの粗い映像に合わせてノイジーで音が籠もったエフェクトかけた音楽なので、最初は(この犯人はわざわざ8mmフィルムにアフレコでこんなBGM入れてるのか……自主映画出身なのか……)と思ってしまった。いやーそこは映写機の回る音だけでいいでしょーと言いたい。
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