NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

Reading Baton

 遅くなりましたが、id:ichinicsさんからのバトンが来ましたのでお答えします。Musical Baton派生の、読書に関するバトンですね。

 1996年末から本当に膨大な時間を、モニタの前でwebを見ることに費やしてきました。えーと、たぶんいわゆる「読書」してる時間よりずっと多い。最近はごくあっさりと「情報収集」とか「楽しみ」とかのために読んでるけど、インターネットに触れてすぐの頃、同世代の人が書いている個人サイトには「お気に入り」という軽い言葉では言い表せないほどの影響を受けたところもありました。なので、自意識過剰気味ですが、この質問にはお答えできません。答えることで、若い頃のとてもナイーブな部分を刺激されるような気がするからです。

  • 今読んでいる本

 本は常に何冊か同時進行で読む。だから一冊読み終わるのにけっこう時間がかかり、これはあまり効率的じゃあないなあと思っているところ。でも移り気なんだからしょうがない。現在進行中なのは……森見登美彦四畳半神話大系』、伊丹十三『問いつめられたパパとママの本』、桜坂洋スラムオンライン』、フローベール『紋切型辞典』、高橋源一郎『読むそばから忘れていっても―1983-2004 マンガ、ゲーム、ときどき小説』、ロジェ・カイヨワ『遊びと人間』(再読)。エッセイ/コラム集の類は机や職場に置いといてちょっと暇なときに5分くらいぱらぱら読む感じなので、「今読んでいる」というほど現在進行形ではない感じ。

  • 好きな作家

 この作家の本はすべて読んでる!とか新刊は必ず買う!とかいうのはあんまりない。ここらへんも移り気。長期間にわたって好きな作家って、もしかしたらいないかもしれない。わりとその時その時で評価が変わる。先々週までは久保帯人、というか『BLEACH』のことばかり考えてました。

  • よく読むまたは、思い入れのある本

 特に何冊というくくりはないようなので、今ぱっと思いつくものを。
山本直樹「夕方のおともだち」(『Fragments 1』所収)
 山本直樹は長編よりも短編/中編のほうがぐっとくるなあ。好きなものはいろいろあるけど、どれか一本選べと言われたら、すごく迷った末にこれ。3本選べというなら、これと、「フレイクス」、森山塔時代の「明日なき暴走」。山本直樹の短編は「走る」瞬間を描いたものと「動けない」状態を描いた物に傑作が多いと思います。

安達哲さくらの唄
 前述の山本直樹の短編と、安達哲のこの作品が、自分の中の何%かを確実に占めている。血肉になってる気がする。……えーと、それはなんつうかあまり幸福じゃない気もする。

ロジャー・コーマン『私はいかにハリウッドで100本の映画を作り、しかも10セントも損をしなかったか』
 B級映画ゴッドファーザーロジャー・コーマン先生のアホみたいに面白い自伝。中学のときに読んで、何回も読み直した。たぶんこれは未だに自分の中の25%くらいは占めている。とにかく書名のとおりの内容なんだが、これ読んで以来、山師っぽい人に憧れるようになった。別に映画に興味がない人でも、これはきっと、読んだら元気になれる本だと思います。世の中いくらでもうまく渡っていける気になる一冊。

ジェイムズ・ティプトリー・Jr「ビームしておくれ、ふるさとへ」(『故郷から10000光年』所収)
 初めて「SF小説を読もう」と意識的に読んだSF小説。たしか「本の雑誌」で大森望か誰かが褒めてたから買ったんじゃなかったか。SFというか、なんか今まで思ってもみなかった概念で物語が紡がれていて、小説っていうのはこんなに自由なのか、と衝撃を受けた。最初に読んだということもあり、ティプトリーではこの短編集が最も好き。「ビームしておくれ、ふるさとへ」はこの短編集の中では最も「わかりやすい」小説で、最も泣ける。

三留まゆみ三留まゆみの映画缶』
 かつて「キネマ旬報」に連載されていたイラスト&エッセイ「帝都谷中日記」と、「宝島」等に掲載されたコラムを集めたもの。80年代前半から90年代あたまあたりにかけての、ある種の映画にまつわる雰囲気を私的に綴った本。これで知って見た映画がいっぱいあるということも重要だけど、それよりも重要なのは「好きなものに関する自分語り」のスタイルをこれでけっこう学んだところ。あー、「自分語り」っていうとなんかこうウザいものの代名詞のようだけど、そうじゃなく、好きなものを私的な心象風景や歴史にからめて語る、ということ。

 マンガと映画本に偏ったけど、とりあえずこれで5冊なのでこんなもんでいいかな。

  • この本は手放せません!

 当然、上で挙げた本は手放すつもりまったくなし。昔の雑誌のバックナンバーなんかも手放せないなあ。今はもう興味のない雑誌だとしても、なんか手放すのには躊躇する。あと、カトリック系の幼稚園の卒園式に園長先生からのメッセージ入りで渡された新約聖書も、僕自身はキリスト教徒じゃなくとも当然手放せない。そりゃそうだ。よくブックオフで聖書や「人間革命」なんかが100円均一棚に入ってたりするけど、あれってどうなんだろ。そういうものは売っちゃいけないんじゃないか? それとも改宗したってことかしら。

  • 次にバトンを渡す人3名

 そして今回も俺で止めてやる! フハハハハハ!