NGM+その他の欲望

日々のサムシングについてのスクラップブック。

『おんぶおばけ』のオープニングテーマはすごい

妻が何かの話の流れで「あれだ、おんぶおばけみたいな……」というようなことを言うので、何だそれ、子泣き爺みたいなものかと思っていたら、まあ妖怪の一種ではあるんだけど水木しげる絡みというわけではなく、そういうタイトルのアニメがあったらしい(皆さんはご存知かしらん?)。

なにそれ! 俺は今まで一度も聞いたことがない! そんな変なタイトルのアニメがあるのか? と驚いていたら、YouTubeにあったオープニング映像を見せてくれた。1972年放映のTVアニメで、『フクちゃん』の横山隆一原作なのか、なるほど確かに絵柄が横山隆一だ……と思いながら見てたら、いかにも70年代の子ども向けアニメの主題歌然としたメロディに、突如として狂人の奇声のような歪んだギター? シンセサイザー? が被さる超アヴァンギャルドなものでマジでびびりました。なんだこりゃ。

 


おんぶおばけ OP

 

主題歌フルVer.


1972 おんぶおばけ・主題歌

 

『おんぶおばけ』主題歌を作曲した三保敬太郎はジャズピアニストやレーシングドライバー、俳優、監督の経験もあるというなんか異色の作曲家・編曲家で、なんと「11PM」のあのテーマ曲の作曲者でもある、というのを調べてほえーと思いました*1

 


1965~ 11P


11PM (東京イレブン) 最終回のオープニング

 

11PM」は最後の半年くらいをギリ見てた(その頃の自分の年齢的にあまりよろしくない番組ではあるが、ちょうどその時期に自分の部屋にお古のTVが設置されたのだ)。東京イレブンより大阪イレブンのほうがなんか面白かったような気がするんだが、「トゥナイト」とごっちゃになってる気もする。映画コーナーで田山力也が出てたのって「トゥナイト」のほうだっけ? 「11PM」の枠の後継番組である「EXテレビ」はかなり見てたなー。

と、初めて知るものからいろいろなものを思い出したりしました。何を見ても何かを思い出す。

 

11PMのテーマ

*1:と、書いたが、あの「11PM」の……と言っても今はもうほとんど通じなくなってるかもしれないな。

『ヴァスト・オブ・ナイト』/……何かが空を飛んでいる!

ヴァスト・オブ・ナイトのワンシーンのスチル

Amazon Prime Videoで『ヴァスト・オブ・ナイト』を見た。Amazonオリジナルでの配信だが、元はスラムダンス映画祭に出品されたインディーズ映画で、それをAmazonが買い付けて配信+アメリカではドライブインシアターでの限定上映ということのようだ。

1950年代終わりのある夜、若き電話交換手のフェイと人気ラジオDJのエベレットはニューメキシコで不思議な周波数の音を耳にする。それは彼らの小さな町と未来を変えてしまう可能性を持つものだった。

Amazon Prime Videoでの紹介から引用

粗筋からもわかるだろうし冒頭でストレートに『ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)』へのオマージュを捧げているように、SF/ホラー/奇妙な味の短編小説風味のお話。50年代末のアメリカの片田舎を舞台にした「接近遭遇」もの、といった内容だ。

というわけでお話としてはごくごくありふれたものなのだが、これが初監督作のアンドリュー・パターソンはかなり才気走った語り口で見せていく。

とにかく登場人物がのべつ幕なしに喋りまくり、空に飛んでいる「何か」について意味ありげなタレコミや告白がラジオ局の電話に舞い込む。ほぼ映画のランニングタイムと同じ時間(90分)の一夜の小さな出来事を、技術的に若干不安定なのが逆に不穏に感じる夜間撮影(あるいはそれも計算のうちか)と長回しで紡いでいく。そのリズムが実にユニークだ。

特に年の離れた主人公コンビ(田舎町でちょっとくすぶってるけど地元の人には人気のディスクジョッキー中年男と、電話交換手のバイトをしている女子高生)が延々とたわいもない日常の会話をしながら移動する冒頭のシークェンスは素晴らしく、ジャンル映画を見ているつもりでいたらジャンルのクリシェの語り口とは明らかに異質なものを急に見せられて意表を突かれるという「ジャンル映画を見ているときに最も楽しい瞬間のひとつ」を味わうことができる。

50年代の地方ラジオ局DJブースや電話交換台の描写も魅力的で、序盤の電話交換台の前で徐々にサスペンスが高まっていく長回しのシーンは、アルバイトの女子高生役シエラ・マコーミックの演技と相まってとても良い。こんなに電話交換台がフィーチャーされるサスペンス描写は『暗闇にベルが鳴る』以来じゃないだろうか。

とまあ、全編にそういった場面が頻出して、つまりこれ、ジャンル映画の典型的な題材を、ジャンル映画の枠内から微妙に逸脱したナラティブで描くという、いかにも若々しいインディーズ映画という感じに仕上がっている。感覚的な話になるが、ヒューマントラストシネマの毎年恒例「未体験ゾーンの映画たち」特集上映のラインナップの中にひっそり入っているようなイキフンの、ちょっと拾いものの一本だった。

 

さてこっからは映画本編の感想とは微妙にズレる話だが、本作で個人的に最も感心したのは、いわゆる「接近遭遇」ジャンルをかなり意識的に純「怪談」映画として描こうとしているところ。つまり誰かが「怪談を語る」シーンをメインの見せ場として全体を構築している映画であるということだ。それは映画の前半と後半にそれぞれ別の人物による、長い長い告白として描かれる。その間、映画はほとんどカットを割らず、その告白をする者と聞く者、その語りが成される場を、まるでその語りそのものによって暗闇の向こう側から「何か」がこちらへ実体化するのではないかという予兆をはらんだ、明らかに他のシーンとは違った手つきで描こうとする。

たぶん直接的な影響関係があるということではないだろうが、ここで私が連想したのは『霊的ボリシェヴィキ』だった。この2本にはある種のシンクロニシティがあると思う。ここで本作を『霊的ボリシェヴィキ』とのシンクロニシティから武田崇元経由でオカルトの文脈で語るような感じのレビューは探せばきっと誰かが書いているだろうけど、まあ俺には手に余る。

 

閑話休題。というわけで『ヴァスト・オブ・ナイト』はちょっと拾いものの一本でした。会話が多いけど字幕が若干こなれてないので、吹替での視聴をお勧めしたい。字幕版と吹替版が別々に用意されているわけではなく、再生中に切り替える形なので注意。

 


THE VAST OF NIGHT Official Trailer (2020)

 

ヴァスト・オブ・ナイト

ヴァスト・オブ・ナイト

  • 発売日: 2020/05/15
  • メディア: Prime Video
 
霊的ボリシェヴィキ

霊的ボリシェヴィキ

  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: Prime Video
 

『さらば愛しき人よ』('87)の佐藤浩市

寝る前にYouTubeをダラーッと見てたら、レコメン動画に若い頃の佐藤浩市が写ったサムネイルが混じっていた。おやこれはと思って見てみると、原田眞人監督/郷ひろみ主演の新感覚(?)ヤクザアクション映画『さらば愛しき人よ』('87)からのクリップ。

佐藤浩市郷ひろみの弟分役の木村一八と対峙するシーンで、佐藤のアクの強いキャラクターと「チャカとだんびらどっちが強いと思う?」「タラッタラッタらったうさぎのダンス」という台詞が印象的な場面だ。

どうもこの動画が密かにバズってるらしく、再生数とコメントがじわじわ増えているっぽい。僕が初めてYouTubeで見たのは7月7日あたりで100万再生を越えたくらいだったが、今(7/15の深夜)見たら200万再生を超えている。何かきっかけがあってバズっているというわけではなく、レコメンに上がってきて初めて見て、そのままなんとなく気になって何度も見てしまうという人が多いらしい。

コメントを見てみるとASMR文脈で何回も見てしまうと言っている人がいて、なるほどといった感じ。確かにこの佐藤浩市の芝居、ほとんど囁き声の潰れ声で常にニヤついてるこの感じは、ASMR味が強いと思う。原田眞人のキレッキレのカットワークと画面レイアウトもあって、何度も見てしまう気持ちはわかる。

 

さらば愛しき人よ』は今、国内ではソフトも配信もなく、見るには北米版のDVDを買うしかないようだけど、これきっかけでどこかで配信とかしてくれないかな。ついでに原田眞人つながりで『タフ』シリーズも配信しないかな。

さらば愛しき人よ/ Heartbreak Yakuza(北米版)(リージョン1)[DVD][Import]タフ PART I-誕生篇- [DVD]