忙しい最中に読んで気が狂いそうに面白かった本を紹介。「見下げ果てた日々の企て」で以前書評を読んで気になっていたのが文庫になっていたので読んでみた。うーん、これはすごい。以下、文庫裏表紙のあらすじより抜粋。
「手と首を斬り落とされた女の死体が発見された。捜査一課の蒲生信昭は、所轄の刑事・和泉龍一と組み、捜査を開始する。だが、被害者の娘、大河内涼を見たとたん、和泉の様子がおかしくなる。和泉を疑い出した蒲生は、彼の過去を調べるが……。」
だがこのあらすじからは想像できないような、異形の物語が展開する。本気なんだか冗談なんだかわからない、変態ぞろいの登場人物、酸鼻を極める残酷描写、スプラッタ・ノワールとでも言えばいいのか、とにかくこんな変な犯罪小説を書ける人はなかなかいない。
きっつい内容だが、作者は絶対に「本気」で書こうとはしてない。斜に構えているわけではないが、いわゆる「犯罪小説」を真っ当に書こう、という気はさらさらないだろう。読んだ後になんとも言えない疲労感が残る。文庫版の帯では馳星周が推薦文を書いてるけど、たぶんこの小説は馳星周的な犯罪小説を馬鹿にするために書かれてると思う。
スティーヴン・キング的に言うなら、頑丈な胃を持った読者にだけお薦めする。
- 作者: 小川勝己
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/05
- メディア: 文庫
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