『Evidence』を見た、その他POVモキュメンタリーもので見たいやつ
ここで言及している当時日本未公開だった映画のうち、『クロニクル』は期間限定ながらも昨年後半に劇場公開され、見た人の評判も上々だったようだ。俺も見に行ったけど、とてもセンシティブな青春映画だったよ。POVスタイルであるというのが、主人公の少年の本質的な孤独感をこれ以上ないほど表していた。
さて、もう一本、最後に紹介していた『ザ・ベイ』が、「カリコレ2014」という新宿シネマカリテの特集上映で、ちょっと変則的な形ではあるけれど劇場公開された。というわけで見に行ったよ。
あらすじを書いておくと、こんな感じ。
アメリカ・メリーランド州チェサピーク湾に面した海辺の町クラリッジ。大学でジャーナリズムを専攻するドナ(ケサー・ドナヒュー)は、独立記念日を祝うカーニバルで賑わう町を取材している。ストックマン市長(フランク・ディール)は海水濾過施設とそれを利用した鶏の飼育工場が自慢で、豊かな水資源こそが町の原動力だと演説。だが、その「水」に触れた町の人々に、突如として謎の疫病が発症する。全身の発疹、短時間で壊死する四肢、ズタズタに破壊される内臓……いったいこの町で何が起こっているのか!
『パラノーマル・アクティビティ』『インシディアス』シリーズの制作者×名匠バリー・レビンソンという異色のタッグで送る、ファウンド・フッテージタイプのモキュメンタリー・パニックホラー。
ファウンド・フッテージっていうのは、なんかすごい事件があった後に発見されたフィルムやビデオを再構成して映画にしました、っていうテイの構成のこと。今作は、海辺の町クラリッジが災厄に見舞われてから数年後、事件当時のホームビデオや防犯カメラ、Skypeのビデオチャット等々の「映像資料」を編集し、ビデオジャーナリスト見習いとして取材中にたまたま事件に巻き込まれ生き残ったドナが、その映像を見ながら当時を述懐するナレーションを入れる、という構成になっている。すでに大ベテランの域にあるバリー・レビンソンが、この「最近の低予算ホラーで流行りのスタイル」を完全に我が物とし、かつベテランらしくうまいことまとめあげた佳品、というのが感想だ。カッティングエッジなとこはないけれど、安心して楽しめる。いや内容的には「安心」と言ってしまうとあまり褒めてないことになるんだが。だがまあ、そんな感じ。
ところで本作は2012年制作の作品なんだが、日本で公開されるまで時間が空いてしまった。で、その時間のずれによって、思わぬ弊害(?)が出てる部分があるんだよね。一応、映画の核心に触れる部分なので(実際のところ知ってて見ても楽しめるとは思うが)、畳んでおきますね。
続きを読む